前回は、EA-BANKポートフォリオシミュレータの説明と、実際にそれを使ってポートフォリオを組む方法を説明しました。
毎回イチからポートフォリオを組むのは大変なので、ポートフォリオシミュレータにはあらかじめ選出されたポートフォリオ、EA-BANK SELECTIONが存在します。今回は、このEA-BANK SELECTIONを使って自分なりのポートフォリオを組む方法を説明していきます。
EA-BANK SELECTIONとは
EA-BANK SELECTIONとは、EA-BANKがEA戦略や期待利得、想定する最大ドローダウンに基づいてEAを選別して提供している基本ポートフォリオです。「EA-BANK SELECTIONから選ぶ」から確認できます。

現在は、最大ドローダウン想定10万円~50万円まで、EA数10~40個、戦略や期待利得で8種類のポートフォリオが提供されています。ウィンドウ右側の構成EA列の「〇〇個のEA」というボタンを押すとポートフォリオの構成EAを確認できます。

EA-BANK SELECTIONをベースにポートフォリオを組み替える
では、このEA-BANK SELECTIONをベースにしてポートフォリオを組み替えてみましょう。まず、ベースにするポートフォリオを選びます。今回は自分で選ぶのが結構面倒な高期待利得EAを中心にした「20EAポートフォリオ-高期待利得EA」をベースに、5個のEAを追加して25EAのポートフォリオを作ってみましょう。
EA-BANK SELECTIONからベースポートフォリオを選択
まず、EA-BANK SELECTIONの画面を開き、「20EAポートフォリオ-高期待利得EA」を選択して「このポートフォリオを使う」をクリックしてください。ポートフォリオが選択され、ポートフォリオ結果の画面が表示されます。


損益傾向の確認
まず、直近の成績を確認しておきましょう。期間の設定を2015-01-01~2023-01-01に設定し、Out-of-Sampleとして直近2年強を確認できるように設定します。
最初にポートフォリオ損益グラフで過去の期待値に対する直近の成績を確認します。添付の図を見る限り、ほぼ期待値通りに推移しているのでこのポートフォリオは今後も成績を残せる可能性が高そうです。
ポートフォリオバランスの確認と方針決め
次にポートフォリオ全体のバランスを確認します。「類似EAグループ」を見るとポートフォリオ構成EAの特性は全体に満遍なく散っていますが、EAがほとんど採用されていないエリア(赤丸)が見受けられます。このあたりを埋めるようにEAを採用していくのが基本方針になりそうです。

「戦略/通貨ペア」グラフでEAの戦略や通貨ペアが偏っていないかを確認します。戦略は満遍なく分散していますが、通貨ペアがUSDJPYに相当偏っています。実際に通貨ペアごと、通貨ごとに集計すると下の表のようになり、USDJPYが12EAもあります。通貨単位だとUSDを取引するEAが14EA、JPYは17EAあり、USDやJPYの変動に大きく影響を受け得る構成になっています。採用通貨を補間し、USDやJPYの影響を減らすのも方針の一つになります。


最後に「勝率/ペイオフレシオ」グラフですが、これは「戦略」に特化してEAを確認している状態なので、これまでの内容と読み取れる情報は重複します。より詳細に戦略を分析したいときに確認してください。

方針に基づいたEA採用
ポートフォリオバランスを確認し、以下の2つの方針が得られました。
- EAがほとんど採用されていないエリアを埋めるようにEAを採用
- 採用通貨を補間しUSDやJPYの影響を減らせるEAを採用
つまり、赤丸のエリアでUSDやJPYを含まないEAのうち、成績の良いものを採用するのが基本方針です。とはいえ完璧に条件を満たすEAがあるとは限らないので、ある程度の妥協は必要です。

グラフ下部にある通貨ペアの文字をクリックすると、その通貨ペアの表示・非表示を切り替えられます。実は、USDやJPYを含むEAを排除すると真ん中上部の赤い点(RGM-86T)の回り以外にほとんどEAが残りません。これだけで補間するのは無理なので、ここから1~2個採用し、残りは特に数が多いUSDJPYを除いた通貨ペアのEAから選ぶ方針とします。

以下はUSDJPYを除いたEAを表示したグラフです。これなら十分に採用候補EAがあり、良さそうなEAを選べそうです。左側の赤丸の中から順に#1,#2,#3,#4と名前を付け、それぞれ1個、2個、1個、1個のEAを採用します。どのEAを採用するかは実際に自分で手を動かして考えてみていただきたいと思いますが、ここでは「直近2年を含めてフォワード成績が良好であること」「採用優先順位はUSD,JPY以外 >> USDを含むEA ≥ JPYを含むEA >> USDJPY」の2つの軸で以下のEAを選ぶことにします。

- #1: Atlas_FX_EABANK(EURUSD)
- #2: Roos(AUDNZD)、UpRightSystem_AUDCAD_M5_EB(AUDCAD)
- #3: KNHG-system_GBPJPY_M30_For_EB(GBPJPY)
- #4:TKtrendgetter_GBPJPY_M15(GBPJPY)

これらのEAを採用すると、以下のように全体に満遍なく特性が分散するように補間できました。ポートフォリオ損益グラフを見ても、変わらず期待値通りに推移するポートフォリオとなっており、大きな課題はなさそうです。


このような手順を経ることで、EA-BANK SELECTIONをベースにして比較的手軽に自分なりのポートフォリオを作成することができます。さらにポートフォリオを補強するのであれば、USDとJPYを減らすようにいくつかのEAを入れ替えるのも良いと思います。ご自身で色々とバリエーションを作成してみてください。
最後に今回作成したポートフォリオへのリンクを以下に載せておきますので、ご自身の試行錯誤の参考にしてください。