EAポートフォリオ構築の基本

項目

  • ポートフォリオって何?
  • 何のためにポートフォリオを組む?
  • ポートフォリオの効果の具体例
  • ポートフォリオの組み方
    • EAの分散
    • ポートフォリオ比率の決め方1
    • ポートフォリオ比率の決め方2

自動売買におけるポートフォリオって何?

「EAのポートフォリオ」の意味は、一般的な投資で言われる「金融資産の組み合わせ」を表すポートフォリオと意味合いはよく似ており、「EAの組み合わせ」を表しています。例えば、さまざまな投資戦略、通貨ペアを取引する10種類のEAを組み合わせてポートフォリオを組むイメージです。

何のためにポートフォリオを組むのか?

ポートフォリオはリスクを減らすために組みます。正確には、ある目標リターン(例えば年率20%)を達成するために取らなければいけないリスクを、適切にポートフォリオを組むことで低減できます。例えばEA1では年率20%に対するリスク(最大ドローダウン)が20%、EA2では年率20%に対するリスクが18%だとすると、EA1とEA2を適切な割合で組み合わせることで、年率20%はそのままにリスクを15%まで減らせます。リターンとリスクは相対値(%)を絶対値(円)に変えても同じことが言えます。

適切な条件を持つEAを組み合わせることで、年中無休で取引してリターンを上げてくれる自動売買のリスクを下げて恩恵を最大限に受けられるようになります。

ポートフォリオの効果の具体例

例えば、GBPJPYの30分足で取引するトレンドフォロー系EA(EA1)と、EURUSDの5分足で取引するスキャルピング系EA(EA2)を組み合わせて稼働させることを考えます。下図は、EA1とEA2の資金配分を100%:0%〜0%:100%まで5%刻みで変化させたときの結果(青点)を、最大ドローダウン(横軸)と総損益(縦軸)としてプロットした図です。今回はリスクを最大ドローダウン、リターンを総損益としています。赤線は、EA1とEA2が全く同じEAだったときに変化するラインで、実際にはEAを組み合わせることで赤線よりもリスクが下がる側に変化しています。つまり、特性の異なるEAを組み合わせるとリスクを減らして運用できるのです。

似た性質のEAを選んだ場合でも、異なる取引を行うEA同士であればリスクを減らせます。下図は、USDJPYを1時間足で取引を行うトレンドフォロー系EAを2つ選んだ場合の図です。このように似たEAを組み合わせてもリスクは減っていますが、性質の異なるEAを組み合わせる場合ほどではありません。最初の例では単体EAの小さい側の最大ドローダウンが約8万円、ポートフォリオとしての最大ドローダウンの最小値が約6万円で約25%改善しているのに対し、下図では約8.5万円から約8万円へ6%程度しか改善しません。似たEA同士でも組み合わせる意味はありますが、ポートフォリオとしての最大限の恩恵を受けるためには特性の異なるEA同士を組み合わせることが重要になります。

ポートフォリオの組み方

EAの分散

先ほどの例のように、EAを組み合わせてポートフォリオを組む際は、異なる特性を持つEAを組み合わせることが特に重要になります。では、どのように「異なる特性」を決めれば良いのでしょうか。

証券会社などが行う一般的な投資におけるポートフォリオで投資比率を決める際は、現在でも多くの場合は「現代ポートフォリオ理論」やその改良手法に基づいて決められています。現代ポートフォリオ理論においては、特性の違いは「損益系列の相関係数」で表現されます。正確には分散共分散行列ですが、ここでは相関係数と読み換えていただいて大丈夫です。つまり、損益の傾向が似ているかどうかで特性が似ているかどうかを表現しています。例えば3つの株A,B,Cへ投資するなら、それぞれの日毎の株価を持ってきて、AとB、BとC、CとAの間の相関係数を確認します。相関係数が0であることが最も望ましく、1.0の場合は完全に同一なので組み合わせる意味がありません。詳しくは次の節で解説しますが、仮に、AはBともCとも相関係数がほぼ0、BとCの相関係数が0.90であるなら、Aは他の株と組み合わせるとリスクを下げられるので大きめに重みを設定し、BとCはよく似ているので小さく重みが設定されるイメージです。

では、EA(自動売買)の場合はどうかというと、こちらでも損益の傾向を見ることは大切です。EA同士の損益の相関は0に近い方が望ましいです。ただEAの場合は株などを買う場合とは異なり、同じ通貨の組み合わせ(USDJPYなど)を違う手法で取引する場合があります。このとき、日本で大きな地震が起きる、アメリカと中国が戦争を開始したなど特定の通貨の価値が大きく変動した場合、普段は全然違う損益傾向のEAたちが、USDやJPYの極端な変動によって同じタイミングに大きな損失を出すことがあります。EAの場合、損益の相関だけを見ても「特性」を正しく把握しきれません。

そこでEAの場合は、イベントが起きた時の影響の分散を目的として「取引通貨」も確認します。また、EAの取引戦略が異なればポジションを持つタイミングや方向が変わるため「取引戦略」も重要な特性です。最後に、同じ取引戦略のEAでも、ポジションを保有する時間によってイベントによる相場変動の影響を受けやすさが変わるため「取引スパン(ポジション保有時間)」も重要な要素です。つまり、EAの場合は損益の相関に加えて「取引通貨」「取引戦略」「取引スパン」の3つを分散することが重要になります。

ポートフォリオ比率の決め方1

最も簡単なポートフォリオ比率(EA間の資金配分)の決め方は、全てのEAを同じリスクで動かすことです。例えばリスクを「2015/1/1〜2024/12/31の最大ドローダウン」と定義するのであれば、それぞれのEAでバックテストを行い最大ドローダウンが10万円になるようにロットを調整します。最後に口座の資金に対して、ポートフォリオとしての最大ドローダウンが許容範囲か、フルでポジションを持った時でも証拠金が足りるか、を確認して、資金が足りない/余裕がありすぎる場合はリスクの値を増減して調整します。

この方法はとてもシンプルではありますが、そこそこうまく機能します。少なくとも何となくでポートフォリオ比率を決めるよりは良い結果になることが多いです。「嬉しさの具体例」の2つの図を見ると、「リスクの低減量」(赤線からどれだけ左にシフトしたか)という点で見ると、どちらの例でもベストではないにせよ十分にリスクが低減しています。

ポートフォリオ比率の決め方2

もう一つの決め方は、ポートフォリオ理論に従って比率を計算することですが、これを自分で行うのはなかなか大変です。この記事でのフォーカスから外れるため計算方法は割愛しますが、ExcelやPythonを使える方であれば日本語で解説しているWEBページや記事がありますのでGoogleなどで検索してみてください(例1例2例3)。

この方法ではまず比率を計算する際の基準を設定します。例えば、リスクを最小化する、シャープレシオ(損益の平均値÷損益の標準偏差)を最大化する、などです。この基準を達成できるように、各EAの比率を調整していき最終的なポートフォリオ比率を決定します。

とはいえ、複雑な計算を自分で実装できるのはほんの一部の人だけです。この次の記事から、この計算を自動的に行なってくれるツールを使ってポートフォリオを組む方法を紹介していきます。次回は、EA-BANKポートフォリオシミュレータというツールを用いて、EA-BANKのEAを使ってポートフォリオを組む方法を紹介します。

ポートフォリオシミュレータの使い方〜その2〜

前回は、EA-BANKポートフォリオシミュレータの説明と、実際にそれを使ってポートフォリオを組む方法を説明しました。

毎回イチからポートフォリオを組むのは大変なので、ポートフォリオシミュレータにはあらかじめ選出されたポートフォリオ、EA-BANK SELECTIONが存在します。今回は、このEA-BANK SELECTIONを使って自分なりのポートフォリオを組む方法を説明していきます。

EA-BANK SELECTIONとは

EA-BANK SELECTIONとは、EA-BANKがEA戦略や期待利得、想定する最大ドローダウンに基づいてEAを選別して提供している基本ポートフォリオです。「EA-BANK SELECTIONから選ぶ」から確認できます。

現在は、最大ドローダウン想定10万円~50万円まで、EA数10~40個、戦略や期待利得で8種類のポートフォリオが提供されています。ウィンドウ右側の構成EA列の「〇〇個のEA」というボタンを押すとポートフォリオの構成EAを確認できます。

EA-BANK SELECTIONをベースにポートフォリオを組み替える

では、このEA-BANK SELECTIONをベースにしてポートフォリオを組み替えてみましょう。まず、ベースにするポートフォリオを選びます。今回は自分で選ぶのが結構面倒な高期待利得EAを中心にした「20EAポートフォリオ-高期待利得EA」をベースに、5個のEAを追加して25EAのポートフォリオを作ってみましょう。

EA-BANK SELECTIONからベースポートフォリオを選択

まず、EA-BANK SELECTIONの画面を開き、「20EAポートフォリオ-高期待利得EA」を選択して「このポートフォリオを使う」をクリックしてください。ポートフォリオが選択され、ポートフォリオ結果の画面が表示されます。

損益傾向の確認

まず、直近の成績を確認しておきましょう。期間の設定を2015-01-01~2023-01-01に設定し、Out-of-Sampleとして直近2年強を確認できるように設定します。

最初にポートフォリオ損益グラフで過去の期待値に対する直近の成績を確認します。添付の図を見る限り、ほぼ期待値通りに推移しているのでこのポートフォリオは今後も成績を残せる可能性が高そうです。

ポートフォリオバランスの確認と方針決め

次にポートフォリオ全体のバランスを確認します。「類似EAグループ」を見るとポートフォリオ構成EAの特性は全体に満遍なく散っていますが、EAがほとんど採用されていないエリア(赤丸)が見受けられます。このあたりを埋めるようにEAを採用していくのが基本方針になりそうです。

「戦略/通貨ペア」グラフでEAの戦略や通貨ペアが偏っていないかを確認します。戦略は満遍なく分散していますが、通貨ペアがUSDJPYに相当偏っています。実際に通貨ペアごと、通貨ごとに集計すると下の表のようになり、USDJPYが12EAもあります。通貨単位だとUSDを取引するEAが14EA、JPYは17EAあり、USDやJPYの変動に大きく影響を受け得る構成になっています。採用通貨を補間し、USDやJPYの影響を減らすのも方針の一つになります。

最後に「勝率/ペイオフレシオ」グラフですが、これは「戦略」に特化してEAを確認している状態なので、これまでの内容と読み取れる情報は重複します。より詳細に戦略を分析したいときに確認してください。

方針に基づいたEA採用

ポートフォリオバランスを確認し、以下の2つの方針が得られました。

  • EAがほとんど採用されていないエリアを埋めるようにEAを採用
  • 採用通貨を補間しUSDやJPYの影響を減らせるEAを採用

つまり、赤丸のエリアでUSDやJPYを含まないEAのうち、成績の良いものを採用するのが基本方針です。とはいえ完璧に条件を満たすEAがあるとは限らないので、ある程度の妥協は必要です。

グラフ下部にある通貨ペアの文字をクリックすると、その通貨ペアの表示・非表示を切り替えられます。実は、USDやJPYを含むEAを排除すると真ん中上部の赤い点(RGM-86T)の回り以外にほとんどEAが残りません。これだけで補間するのは無理なので、ここから1~2個採用し、残りは特に数が多いUSDJPYを除いた通貨ペアのEAから選ぶ方針とします。

以下はUSDJPYを除いたEAを表示したグラフです。これなら十分に採用候補EAがあり、良さそうなEAを選べそうです。左側の赤丸の中から順に#1,#2,#3,#4と名前を付け、それぞれ1個、2個、1個、1個のEAを採用します。どのEAを採用するかは実際に自分で手を動かして考えてみていただきたいと思いますが、ここでは「直近2年を含めてフォワード成績が良好であること」「採用優先順位はUSD,JPY以外 >> USDを含むEA ≥ JPYを含むEA >> USDJPY」の2つの軸で以下のEAを選ぶことにします。

これらのEAを採用すると、以下のように全体に満遍なく特性が分散するように補間できました。ポートフォリオ損益グラフを見ても、変わらず期待値通りに推移するポートフォリオとなっており、大きな課題はなさそうです。

このような手順を経ることで、EA-BANK SELECTIONをベースにして比較的手軽に自分なりのポートフォリオを作成することができます。さらにポートフォリオを補強するのであれば、USDとJPYを減らすようにいくつかのEAを入れ替えるのも良いと思います。ご自身で色々とバリエーションを作成してみてください。

最後に今回作成したポートフォリオへのリンクを以下に載せておきますので、ご自身の試行錯誤の参考にしてください。

https://s.ea-bank.com/6C9Is4

EAポートフォリオシミュレータの使い方

EAポートフォリオシミュレータとは

EAポートフォリオシミュレータとは、EA-BANKに登録されている150個以上のEAを任意に組み合わせて、自分だけのポートフォリオを構築することを支援するツールです。ポートフォリオシミュレータそのものについて全体像を知るには、公式サイトの解説ページを見ていただくのがわかりやすいと思います。現在はこの解説ページの内容に加えて、「ポートフォリオ候補EAの自動抽出機能」「Out-of-Sample期間*の統計値表示機能」がリリースされています。

*Out-of-Sample期間とは、今回の場合はポートフォリオ配分計算に”使っていない”期間のことを指し、配分計算の妥当性を確認するために用います。

ポートフォリオ候補EAの自動抽出機能

この機能は、前回解説したEAポートフォリオにおけるEAの分散を担保するために必要であった、「取引通貨」「取引戦略」「取引スパン」「損益相関」を考慮して、自動的に指定した数のEAを抽出してくれる機能です。ポートフォリオシミュレータ内の「おまかせEA抽出」をクリックすると利用できます。

「おまかせEA抽出」画面ではEA抽出条件を設定でき、「ポートフォリオに組み込みたいEAのタイプ」では「EAの取引戦略」の観点から抽出対象とするEAの種類を、「重視するファクター」では「似たEA」の中から最も良い1つを選ぶための基準を選択できます。「抽出するEA数」は文字通り何個のEAを抽出するかを選択します。

しばらく待つと以下のようなEA抽出結果一覧画面が表示されます。内容を確認して「EAをポートフォリオに加える」をクリックすると、ポートフォリオにこれらのEAが追加されます。抽出条件を変更したい場合は画面左上の「<<」をクリックしてください。

おまかせEA抽出は、すでに今のポートフォリオに新しいEAを加えたい場合にも使えます。「+EAを追加する」から「おまかせ抽出」を選ぶと先ほど同様にEA抽出の条件設定画面が現れます。

先ほどとの違いは「すでにポートフォリオに組み込まれているEA」が表示されている点で、「今のポートフォリオに追加するのに適したEA」を指定した条件に従い抽出します。例えば「バランス型」「トレンドフォロー型」メインのポートフォリオに少しのスキャルピングEAを加えたい場合などに使います。

条件指定後の流れは先ほどと同じです。

Out-of-Sample期間の統計値表示機能

ポートフォリオシミュレータでは、ポートフォリオ配分計算の期間を前日(今日が2025/2/1であれば2025/1/31)までの期間で自由に指定できます。終了日が前日より前の日付(例えば2022/12/31)を指定した場合、終了日の翌日〜前日(2023/1/1〜2025/1/31)の期間はポートフォリオ配分計算に使わない期間になります。この期間をOut-of-Sample期間と呼び、その期間での取引の統計値を表示します。

反対にポートフォリオ配分計算に使う期間のことをIn-Sample期間と呼びます。ポートフォリオはこのIn-Sample期間での成績が良くなるように配分を調整されているため、この期間に過剰に適合してしまい、それ以外の期間で期待した通りに動作しない可能性があります。それを確認する手段の一つがOut-of-Sample期間の損益や統計値を確認することです。

以下の2つの画像右側の赤枠で囲われたエリアがそれにあたります。 1枚目のグラフは、In-Sample期間の損益(薄緑)とIn-Sample期間の損益からの将来の予測損益レンジ(水色背景エリア)、Out-of-Sample期間の損益(濃い緑)が表示されています。水色背景エリアの中に濃い緑の線が入っていれば、過去の期待値通りに推移していると確認できます。 2枚目の表にはIn-Sample期間とOut-of-Sample期間の損益の統計値が表示されています。取引回数と成長は集計期間の長さに比例して数字が変わってしまうので比較する意味は薄く、それ以外の期待利得や勝率、Recovery Factor(RF)などの統計値を比較します。

ポートフォリオシミュレータを使ったポートフォリオ構築

自分でEAを選んでポートフォリオを組んでみる

実際にポートフォリオシミュレータを使って、ポートフォリオを組んでみましょう。

まずは5個のEAを使ったポートフォリオを組むことにします。

1. 許容するドローダウンを入力します。
この値はポートフォリオ運用の際に自分が許容できる最大ドローダウンの値を入力します。注意して欲しいのは、あくまで過去のデータを元に算出されるドローダウンなので、実運用ではその値を超えるドローダウンが発生する可能性があります。資金効率とリスクのトレードオフを考えると、運用資金の20%(ローリスク)〜50%(ハイリスク)の中で自分が許容できる値を設定しましょう。


2.ポートフォリオ算出期間を入力します。
今回は成績を見るための練習も兼ねて、2015/01/01〜2022/12/31を設定してください。この設定では、In-Sample期間は8年間、Out-of-Sample期間は2年ちょっと(計算日によって変わる)になります。

3.「自分でEAリストから選ぶ」を選択します。
 a. まず一つEAを選ぶ。
開いたEA一覧ウィンドウの中から、どのEAでも良いので自分が気になるEAを1つ選んでください。期待利得やRecovery Factor(RF)、シャープレシオでソートして最も良いEAを選んでも構いません。例では、Alps_EURCHF_M30(EURCHFでペイオフレシオ0.44)を選ぶことにします。

 b.「取引通貨」「取引戦略」「取引スパン」を分散させて残りの4EAを選ぶ。

取引通貨=通貨ペア、取引戦略=PayoffRatio(ペイオフレシオ、PR)、取引スパン=平均保有時間として、これらをできるだけ分散させて残りの4つのEAを選んでください。 例で選んだTK-EX USDJPYは通貨ペア=EURCHF、ペイオフレシオ=0.44、平均保有時間=34.6ですので、別の通貨ペアでペイオフレシオ・保有時間が異なるEAを探します。ペイオフレシオと保有時間は比較的正比例する傾向があるので、ペイオフレシオと保有時間が、(低い・短い)〜(高い・長い)の組み合わせを、いろいろな通貨ペアから選ぶ、という考え方をすると選びやすいです。 なお、通貨ペアはペアとして異なるだけでなく、含まれる「通貨」自体の重複をできるだけ減らすことが望ましいです。5EAの場合は10種類の通貨を1回ずつ採用している状態が最も良いのですが、いつも欲しい種類のEAが存在していて成績も良いとは限らないので、6種類の通貨で4種類は2回ずつ採用するくらいでも構いません。採用できそうなEAと相談して決めましょう。 選び終えたら「EAを追加する」をクリックします。

4.EAの分散状況を確認する。
EAをポートフォリオに追加したら、「類似EAグループ」や「勝率/ペイオフレシオ」のグラフを確認し、全体にまんべんなくEAが分布しているかを確認します。以下の図の場合、「類似EAグループ」では比較的綺麗に分散していますが、「勝率/ペイオフレシオ」では真ん中らへん(ペイオフレシオ1.0〜1.5周辺)が抜けており、右側(ペイオフレシオ0.6あたり)に2つのEAが固まっています。片方を真ん中に移せれば理想的ですが、都合よくそのようなEAが存在するとは限らないので、2,3個のEAをまとめて変えないと上手くいかないことが多いです。手作業でポートフォリオを組む場合、納得がいく構成になるまで何度も試行錯誤が必要になります。

5.ポートフォリオの損益グラフと統計値を確認する。
納得がいく構成を作成できたら、損益グラフと統計値を確認して、直近まで安定して推移しているかを確認します。この成績の場合、2023年末までは期待値通り安定して推移していますが、2024年以降は成績を落としており直近の相場を苦手としていそうだとわかります。統計値を見てもOut-of-Sample期間のシャープレシオ、RF、ペイオフレシオが大きく悪化しています。この結果を見ると、このポートフォリオを動かすのはリスクが高そうだと判断できます。原因となったEAを入れ替え、ポートフォリオを調整する必要がありそうです。

6.ポートフォリオを調整する。
先ほどは2024年の成績が悪いEAが集まってしまっていたため、それらを別のEAと差し替えることにします。今度は個別EA紹介ページ(EA名に設定されたリンクから飛べる先)の成績も見て、直近の成績も良いEAを中心にポートフォリオを組んでみます。例えば以下のAtlas_FXのように、全体的に成績が安定していて、直近も調子を崩していないEAを集めます。この考えで、AussyEA_AUDJPY_M30以外の4つのEAを入れ替えました。

その結果が以下のポートフォリオです。このポートフォリオでは、損益グラフは水色背景エリアの中に濃い緑の線が入っており、In-Sample期間の期待値に従いOut-of-Sample期間も推移しており、統計値も比較的近い傾向を示しています。「類似EAグループ」「勝率/ペイオフレシオ」グラフ上でもよく分散しており、このポートフォリオなら将来でも同様の成績を残してくれそうなので、これらのEAを組み合わせたポートフォリオを採用することにしましょう。

7.直近までの損益に基づいてロット配分を決定する
最後に、直近の成績を含めてポートフォリオとしてのロット配分を決定します。EA構成は変えないまま、期間指定の「終了」を昨日の日付に設定して「ロット配分を自動計算する」ボタンを押します。その結果「lot数」列に表示される値が、各EAに設定するロットになります。

慣れないと中々大変な作業ですが、このようにして自分独自のEAポートフォリオを作成できます。

あるEAを軸にして、おまかせEA抽出でポートフォリオを組んでみる

手動でポートフォリオに組み込むEAを選ぶのは非常に大変でした。「おまかせEA抽出」機能を使うとより簡単にEAの分散を考慮しながらEAを抽出できます。

すべておまかせする場合

1.直近の成績も重視してEAを選ぶ
先ほどのように期間の「開始」を2015/1/1に設定すると、直近の成績が全体の成績に埋もれてしまい、「直近の成績は芳しくないが全体を見るととても良い」EAが選ばれてしまうことがあります。例えば直近4年間の成績だけをみてEAを抽出しておき、後から全体の期間を見てロット配分を設定すると、先ほど手動で行ったことに近いポートフォリオを構成できます。
期間を直近3〜4年(例えば2021/1/1〜昨日)の範囲に設定します。

2.おまかせEA抽出を実施
おまかせEA抽出の条件を設定します。今回の例の場合、EAタイプはすべてにチェックを入れ、EA数は5個に設定します。重視するファクターはお好みで構いません。

3.抽出されたEAで構成されるポートフォリオの成績を確認する
期間を長期に設定(例えば手動と同様に2015/1/1〜2022/12/31)に設定し、損益グラフと統計値を確認します。この例の場合、自動抽出されたEAで構成されるポートフォリオは、In-Sample期間の期待値通りに推移しており、統計値も極端な変動はない(Out-of-Sample期間が多少悪くなるのは通常)と確認できます。

4.必要に応じて手動でポートフォリオを調整する
今回は行いませんが、EAの分散などを見ながら手動でポートフォリオを調整します。
5.直近までの損益に基づいてロット配分を決定する
構成EAが決まったら、手動の時と同様に昨日までの成績に基づいてロット配分を決定します。EA構成は変えないまま、期間指定の「終了」を昨日の日付に設定して「ロット配分を自動計算する」ボタンを押します。その結果「lot数」列に表示される値が、各EAに設定するロットになります。

軸となるEAを自分で選ぶ場合

1.期間を直近数年に設定する
すべておまかせの場合と同様に、期間を直近3〜4年(例えば2021/1/1〜昨日)の範囲に設定します。
2.軸にしたいEAを選ぶ
1つ以上、ポートフォリオに絶対に組み込みたいEAを手動で選んでポートフォリオに追加します。今回はZephyr(USDJPY)を軸にするEAにします。
3.おまかせEA抽出で残りのEAを選ぶ
「+EAを追加する」から「おまかせ抽出」を選び、EA数を4個に設定して合計5個のEAが選ばれるようにします。

4.あとは「すべておまかせ」と同様の手順

まとめ

この記事では、EA-BANKのEAポートフォリオシミュレータを用いて自分独自のポートフォリオを組む方法を紹介しました。手動でEAを選ぶ方法、「おまかせEA抽出」でベースを作る方法、指定したEAを軸に「おまかせEA抽出」でポートフォリオを構成する方法を解説しており、この記事を見れば自分自身で独自のポートフォリオを組めるようになっています。ぜひ、自分でいくつかポートフォリオを組んで、納得がいくものができれば運用してみてください。その場合も、月1回程度の頻度で定期的にポートフォリオ構成EAの見直しやロット配分の再計算(リバランス)を行うことをお勧めします。

2月の入れ替え(全EA、0.01)

2月の全EAの入れ替え表です。
先月に引き続き国内証券に移行するにあたって期待利得の低い、又はスプレッド負けしそうなEAは取り下げましたので更に数が減っております。
今月は様子を見て頂いた方が無難かと思います。
管理表zipファイルは本ページのリンクからDLお願いします。

0.01の管理表となります。G列の赤字が採用で青字が取り下げとなっております。

1月の入れ替え(0.01)

事前に配布済みの0.01ですが、これまでの方針はEAの取り下げや新規追加以外は入れ替えは無しで運用してきましたが、全EAでも説明させていただいた通り国内に移行するにあたって期待利得の低い、又はスプレッド負けしそうなEAの運用を停止しております。
期待利得の低いEAを停止した事で相対的にトレンドフォロー型に組成され直しているので、これまでよりも安定する想定です。
管理表は本ページのリンクからDLお願いします。


※管理表について
・今後は0.01も毎月少しですがアジャストしていく事になるので多少の入れ替えが出てまいります
・グレーのセルは取り上げEAとなります
・紫と青のセルは今月は使用しなかったEAとなります
・今後もう少し見やすくなるように改修してまいります